脱毛のお店NICO オーナー桶本貴子さんにインタビュー「まつ毛から下の毛はいらないと思うんです」

ふふふ。そう言ってもらえるとうれしいですね。物件はかなりこだわって探し回りましたから。

外観のおしゃれさはもちろんですが、３階までの建物で、エレベーターのない雑居ビルかマンションって決めていたんです。

女性専用のサロンがあると知ったら、良からぬことを考える男性が来ないとも限りません！私のサロンに来てくれるお客様が、そんな男性とエレベーターに閉じ込められたりしたら大変です。

雑居ビルかマンションが良かったのは、ブラジリアンワックスって、VIOの脱毛をするというイメージがありますよね？デリケートな部分のことですから、他の方に知られるとイヤという人もいると思うんです。

心配しすぎかもしれませんけど、お客様にはほんの少しでも嫌な気持ちになってほしくないので、サロンを開業する場所はとても大事だと思っていました。

ベランダから外に向けて看板は出しているのですが、マンションの入り口からは見えないんです。横にコインパーキングがあって、その道沿いで見てきましたっていうお客様もいらっしゃるのですが、マンション前には大きな看板などは、敢えて出していないんです。

いいえ、最初は神戸とか三宮で探していたんですよ。でもなかなかいい物件が見当たらなくて。絶対、物件での妥協はしたくなかったので、ちょっとエリアを広げてみようと塚口や武庫之荘あたりも候補に入れたら、この物件を見つけたんです。

まさにこれ！という理想の条件にピッタリだったので、そのときはまだワックス脱毛のスクールに通っている最中だったのですが、すぐに押さえてしまいました（笑）。

内装のイメージは南国のリゾートとか、カリフォルニアスタイルを意識しつつ、山や海、星などの自然を取り入れて、とにかくお客様がゆっくり気持ちよく過ごしてもらいたいと思ってます。

壁や床も、木目調で少しビンテージな雰囲気にしているんです。

最初は清潔感のある真っ白にしようかなと思っていたんですけど、それだとちょっと病院っぽいというか、無機質な感じになってしまいそうでしょ。仕切りの壁も作らず、物もなるべく置かず、オープンな感じを心掛けています。

ふふふ、そうなんです。ニコちゃんマークにはちょっとこだわりがありまして、お店の看板はもちろん、ちょっとしたアクセントとして使用しています。

お客様にはいつも笑顔で帰ってほしいですし、私もどんな時でも、ニコニコとお客様に対応していきたい。そんな気持ちもこもっているんですよ。

これでもごく一部なんです。お客様にワックス脱毛をした後にお茶をお出ししているので、その時間にかいてもらえればと思って、付箋やペンなどをお渡ししてるんですよ。

それを壁にディスプレイして、お客さんのコメントから元気を頂いてます。

私もそれにはびっくりしているんですよ（笑）。

でもワックス脱毛って、毛が薄くなるまではどうしても痛いんです。女性は結構、我慢強いというか、痛みに強い方が多いんですけど、男性はVIOの形状の問題で、女性よりも痛みが強く出てしまうんです。

時には「ちょっと待って。タバコ１本だけ吸わしてくれる？」なんて言ってくる男性のお客様もいるぐらい。

ワックス脱毛の痛さだけに神経が集中してしまわないように、できる限りお話をするよう心掛けているんです。緊張しているなと思ったら、それこそずっと話しかけてます。

話の内容は、私の体験した毛にまつわるエピソードだったり、その時の時事ネタだったり、お客様の趣味の話だったりと、いろいろです。

そういうお話をする一つひとつが、信頼関係につながるんじゃないかなって思うんです。信頼関係がないと、何をされるのかドキドキと緊張してしまって、それが緩むこともないですからね。

VIOの処理にはハードワックスと呼ばれるものを使うのが一般的なのですが、使われている素材やメーカーによって、全然使用感が違います。

それに、塗ってはがすという単純作業に見えるかもしれませんが、技術職なので上手い下手ってあるんですよ。

私も日々、ワックスメーカーさんが開催する講習に出かけたりと知識や技術を磨く努力はしていますが、自分の技術が一番かといわれると、まだまだ勉強中です。

だから、出来る限り上手に、痛かったというより来てよかった、楽しかった、快適になったと、最後に思ってもらえるサロンでありたいと思います。

私と話をしながらワックス脱毛をすることが、お客様にとっての付加価値になってくれるのなら、とても光栄なことだと思います！

サロンをオープンしたころは、30代～40代のお客様を中心に、女性のお客様が多かったのですが、最近は10代のお客様が多くなってきたかなと思います。

それこそ、AKBの指原さんとかアイドルの女性が、VIOの毛がもうないことをテレビでお話されたりしているので、その影響かなと。ワキとか腕の毛と同じように、デリケートゾーンの毛も処理しなきゃいけないんだって感じているようです。

うちは18歳未満のお客様には、保護者の同意書の提出をお願いしているので、10代のお客様はお母様と一緒に来店されることも多いんですよ。

あとは、女性と男性が半分ずつ位になってきたことに驚いてます。しかも、意外とカップルでいらっしゃる方も多いんです。

衝立というか、仕切りがあるので、女性がワックス脱毛をしている間、男性はスマホを見たりマンガを読んだりしているんですよ。でも、男性のワックス脱毛のときには「私も１回はがしてみたい～」と、女性は必ずのぞきに来ますね（笑）。

もちろん、衛生面もありますし、彼女さんが剥がしたりするのはお断りしてますよ（笑）。男性のお客様が嫌がるそぶりを見せて、でも言いにくいんだなぁって思った時には、それとなく女性のお客様には衝立の向こうでお待ちいただくように伝えます。

男性のお客様がひとりでいらっしゃることも多いのですが、女性でも男性でも、一番人気のメニューはVIOの全取りですね。

以前はVIOの脱毛というと、あまり良いイメージではなかったかもしれませんが、衛生的にも、快適さも、毛があるのとないのとでは大違いです。サロンにも看護師さんとか、介護関係の方とか、医療関係の方も多いんですよ。

実用面という意味でも、女性ばかりではなく男性にもVIOのムダ毛はない方が良いって広まってきたんだなと感じています。

お客様に「いろんな人のそんなところ、見るのイヤになったりしないんですか？」って聞かれたことがあるんです。実際、私も自分でサロンをオープンするために勉強しようと思った時、無理かもしれないな…なんて思っていたんですけどね。

でも実際にスクールに行って、モニターさんを前にすると、毛の流れはどうなっているかなとか、どう塗ればきれいに取れるかなとかに集中するので、恥ずかしいとか、イヤになったりとかまったく感じなかったんです。

今も同じで、お客様のVIOの処理をするときには「この毛量なら３手で取れるな」とか、「ちょっと回数は増えちゃうけど、５手のほうがきれいに取れるな」なんて考えるだけなんです。予想通りの手数できれいにできると、ちょっとうれしくなったりするんです（笑）。

もちろん、デリケートな部分なので、触り方とか塗り方にも気をつけますが、私にとってはVIOも、ひざ下の毛も変わらないです。

毛が短くてワックスで抜けきらなかった分は、ツイザー（毛抜き）での処理も行って、ツルツルできれいな状態に仕上げさせていただいて、満足してもらえることだけに気を配っていますから。

だから誰でも、恥ずかしがらずに来てくれたらいいなって思います。

形状が複雑だったり、皮膚がピンと伸びなかったりする部位は難しいので、やはりVIOは難しいですね。

基本的にワックス脱毛は、光脱毛や医療レーザー脱毛と違ってNGがないので、色が黒くても、タトゥーを入れている部分でも、アートメイクをしている場所でも脱毛することができます。

以前は毛が3ミリから5ミリ程度は伸びていないとワックス脱毛ができなかったのですが、最近では1ミリ程度でも伸びていれば、しっかりと毛をホールドして抜くことができるワックスが登場したので、ヒゲ脱毛にも対応できるようになりました。

男性のヒゲって、根が深いし毛は太いので、5ミリ程度まで伸ばしてもらわないとなかなかきれいに処理できなかったんです。でも、新しいワックスであれば、土日の間など髭剃りを我慢してもらえれば、ほんとにきれいに脱毛することができます。

私は人間に生えている毛で、まつ毛より下の毛って、全部いらないと思ってるんですよ！だから余計なムダ毛はすべて、きれいにするお手伝いをさせてもらえたらと思っています。

私、生まれたときには母に「サルの子が生まれたのかと思った」と言われるぐらい、小さいころから毛深くて。小学校の６年生のときだと思うのですが、体育の授業でブルマ姿になったとき「あれ？私って男子より毛が濃くない…？」とびっくりしたんですよね。

その日の夜、父のカミソリを使って足の毛を剃ってみたらつるつるになるじゃないですか。それがうれしくて、ほぼ毎日、親には内緒でカミソリで処理をしていました。

高校生ぐらいになって、毎日剃るのも大変だしもっと簡単な方法ってないのかなと思って調べたら、光脱毛や医療レーザー、ニードル脱毛とかいろんな処理方法があることを知ったのですが、どれもものすごく高いんです。

当時の自分では無理だったので、社会人になって、お金が稼げるようになったら、ローンを組んででも脱毛してやる！って思ってました。

ですよね～。だから、社会人になってからすぐ医療レーザーに通いだしたんです。でもせっかちなので、ムダ毛がなくなるまで１年ぐらいかかるって聞いて、かなりショックでした。いますぐムダ毛をなくしたいのにって。

しかも、医療レーザーをする前には自分でカミソリで処理をしていかなくてはいけないでしょ。それにレーザーを当てられても「ほんとに効いてるの？」と半信半疑になっていたのもあると思います。

それに、私は生理不順だったので予約をしていた日にいけないということも多かったんです。期間が長くなれば、それだけお金の負担も増えるので、結局は行かなくなってしまったんですよね…。

そんな時、友人からブラジリアンワックスを紹介されたんです。脱毛したいと思ったらすぐ毛がなくなるし、費用も高くないし、行きたいときに行けるし、だめっていう部位はほぼない。私のしたいと思っていた脱毛にぴったりだったんです。

今でも定期的にブラジリアンワックスサロンに通って、全身をワックス脱毛しているんですよ。

私がブラジリアンワックスをはじめたころは、ブラジリアンワックスをしている人も、知っている人も少なかったんです。それどころか、下の毛を全部処理してしまうなんて…と、嫌悪感を示したり、好奇の目で見られたりすることもありました。

でも、私はそれでコンプレックスを解消できたし、VIOの毛がなくなることで生理中も清潔で快適になったし、じゃあこの便利さを私がいろんな人に伝えていこうと思ったんです。

それにもともと、いつかは自分で何か起業してみたいという気持ちもありましたから。ブラジリアンワックスの良さを伝えて行きたいっていう気持ちと起業したい気持ちが合致したので、そこからはもうあとは開業まで一直線に走り出した感じですね。

いま、ワックス脱毛のお店でも光脱毛を取り入れたりする“ミックス脱毛”が流行っているんです。光脱毛の機械も進化して、毛をワックスで抜いた後でも光の照射ができるマシンも登場しています。

関西にもブラジリアンワックスサロンが増えているのですが、ちょっと講習を受けただけで開業してしまっているサロンも多くあります。

そういう時代ですから、逆に私はしっかりとワックスの技術を磨いて、お客様に安心してもらえるブラジリアンワックスサロンであり続けたいと思っているんです。

私のサロンを気に入ってくれているお客様は、ここにベッドがもうひとつ増えて、違う人にワックス脱毛をされるようになるなら来ないって言ってくれるんです。

この規模だから、大きな声で赤裸々な話をしていても他の人に聞かれる心配はないし、私だからワックス脱毛を任せても安心だってね。

ワックス脱毛を教えてくれるスクールもいろいろあるんですが、自分で経験したことが活きる場面もほんとに多いんです。体温が高い人は、このワックス剤は固まりにくいから肌にワックスが貼りついて毛がきれいに取れないとか。

なので、ワックスの種類はもちろん、いろんな脱毛に関しての情報を収集して、お客様にしっかりと技術として還元していくのが、私の使命だと思っているんです。