脱毛サロンで全身脱毛ができない病気とは|既往症も事前に相談

公開日:2018/08/27 更新日:2019/03/08

近年、若い女性を中心に人気を集めている脱毛サロンですが、基本的に脱毛サロンで光脱毛をする場合は、「健康状態が優良であること」が条件とされています。

持病があるにも関わらず、それを隠して脱毛を行うと、肌トラブルの原因になったり、健康状態が悪化したりする可能性があるため、絶対に避けてください。

今回は、脱毛できない、あるいは脱毛を控えた方が良い病気や症状をまとめてご紹介します。心当たりのある方は、ぜひ参考にしてみてください。

全身脱毛ができない病気

どんなに光脱毛をしたくても、脱毛を促す仕組みの関係で、どうしてもできない病気は存在します。以下に代表的なものを挙げさせていただきます。

光過敏症(光アレルギー)

光過敏症(光アレルギー)とは、普通の方なら何でもないような光線曝露が原因で、さまざまな皮膚症状が生じる病気の総称です。

光過敏症には、色素性乾皮症、骨髄性プロトポルフィリン症、多形日光疹などがあります。そのなかでも、光脱毛を行う際に問題になりやすいのが日光アレルギー(日光蕁麻疹)です。

日光アレルギーは、日光に当たった場所が赤くなったり、かゆみやみみずばれを引き起こしたりする病気です。

光脱毛では、毛の根元にあるメラニン色素に反応する特殊な光を照射し、抑毛・脱毛効果を促します。しかし、日光アレルギーの方は皮膚が光に過敏に反応してしまうため、肌トラブルのリスクが高くなってしまうのです。

そのため、日光アレルギーを始めとする光過敏症の方は、脱毛サロンでの処理を受けることはできません。

糖尿病などの内臓疾患

糖尿病などの内臓疾患がある場合も、脱毛を受けることができないケースがあります。

糖尿病を発症すると、自己免疫機能が低下して、皮膚の傷などが治りにくくなります。これは、インスリンが不足し、ブドウ糖を細胞内に十分に取り込めなくなるからです。

ブドウ糖が不足すると細胞の活動性が低下して、自己免疫機能が弱まってしまいます。すると、感染症にかかりやすくなったり、傷が治りにくくなったりします。これを創傷治癒遅延と言います。

この状態で肌に光を照射すると、深刻なトラブルを引き起こす可能性があるため、糖尿病の方は原則的に脱毛を行えません。

また、狭心症や心筋梗塞の既往がある方も要注意です。心臓病と脱毛に直接の因果関係はありませんが、脱毛時の刺激などにより発作を引き起こすリスクもゼロではないため、たいていの脱毛サロンではそうした既往のある方は、処理をお断りするケースが多いようです。

心疾患でペースメーカーを使用している方についても、基本的には脱毛不可としているサロンがほとんどです。

さらに、緑内障を患っている方も、脱毛は控えた方が良いとされています。 緑内障の治療に使う点眼薬には、光過敏症の副作用が出るものも存在します。

脱毛サロンでは光を照射して抑毛や脱毛を行うため、光過敏症のリスクがある方は処理を受けることはできません。

このように、脱毛ができない内臓疾患は多々ありますが、病気が完治していれば処理を受けられるケースも無いとは言えないため、まずはかかりつけの医師に相談してみると良いでしょう。

皮膚がん

光脱毛をすると皮膚がんになるという噂を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、光の照射と皮膚がんの因果関係は、医学的に証明されていません。

皮膚がんの一番の原因は紫外線だと言われていますが、フラッシュ脱毛やレーザー脱毛で使用するのは、紫外線よりも波長の長い赤外線に近い光線です。

紫外線は、人の細胞の中にあるDNAを傷つけてしまいます。繰り返しDNAが傷つけられることによって、がんを引き起こすと考えられています。

一方、赤外線は照射した物質の温度を高める効果はあっても、DNAを傷つけることはありません。そのため、肌に照射をしても、その部分が皮膚がんになる恐れはないと考えられています。

ただし、もともと皮膚がんを患っている方の場合は、光を照射することで皮膚にダメージを与えてしまう恐れがあります。そのような方は、脱毛を控えた方が良いでしょう。

甲状腺疾患

甲状腺疾患とは、名前の通り甲状腺の機能に異常が起きる病気の総称です。

甲状腺は、新陳代謝を司る甲状腺ホルモンの分泌を担う臓器です。甲状腺疾患を発症すると、甲状腺の機能が異常に亢進したり(甲状腺機能亢進症)、逆に異常に低下したり(甲状腺機能低下症)します。

橋下病、バセドウ病などが代表的な病気で、多汗、手の震え、動悸、体重の減少や増加など、多彩な症状を引き起こします。

なかでも脱毛時に問題となるのが、皮膚の乾燥、発汗、免疫機能の乱れ、そして薬の服用などによるホルモンバランスや毛周期の乱れです。

甲状腺疾患に処方される薬のなかには、毛周期や体毛バランスを変化させる作用を持つものがあります。そのため、脱毛を行なっても十分な効果が得られないなどの可能性があるのです。

また、皮膚の乾燥や発汗、免疫機能の乱れも、不足のトラブルを引き起こすリスクとなります。 こうした理由から、甲状腺疾患を持っている方の脱毛はお断りするというサロンがほとんどです。

また、脱毛サロンでは、甲状腺への悪影響を考えて、ノドへの照射は行っていないという施設も少なくありません。

薬物アレルギー

薬物アレルギーとは、薬物によって引き起こされるアレルギー症状の総称です。

薬物アレルギーがある場合、発疹や蕁麻疹など、急性の症状が現れる場合があります。 特に、ペニシリン系やセフェム系の抗生物質を使用した際に、アレルギー症状を引き起こすケースが多いとされています。

また、鎮痛剤、非ステロイド抗炎症剤、ホルモン剤、造影剤などもアレルギーのリスクが高い薬と考えられています。

アレルギー症状の程度は人によって個人差があり、アナフィラキシー・ショックと呼ばれる最も重篤な症状を引き起こした場合、命に関わる危険もあります。

そのため、多くのサロンでは、薬物アレルギーを持っている方の処理はお断りする形をとっています。

てんかん

てんかんは、さまざまな原因によって引き起こされる、慢性の脳疾患です。脳の電気嵐とも呼ばれ、脳内の電気的な乱れが生じることで発作が起こると考えられています。

てんかんには脳に何らかの障害や傷があることで起きる症候性てんかんと、検査をしても原因が見つからない特発性てんかんの2種類があります。

いずれの場合も、ひとたび発作が起きると突然のけいれんや失神などの症状が現れます。 電気処理の刺激や光線による刺激は、てんかん発作を引き起こす原因の1つとされています。

光脱毛では強い光を発して脱毛を行うため、多くのサロンでは、てんかんを持っている方の処理は行なっていないというのが実情です。

症状の度合いによって脱毛ができる病気

アトピーなどの皮膚病(皮膚疾患)はその時の症状次第

アトピーや色素斑、ヘルペスなど、何かしらの皮膚疾患を患っている場合は、脱毛の刺激によって症状を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。

アトピーの場合、出血やかゆみを伴うなど症状が強いときには、脱毛は行えません。また、症状は落ち着いているけれど色素沈着がひどい場合は、その箇所を避ける形で脱毛を行うケースが多いとされています。

また、口腔ヘルペスや顔面ヘルペスを発症している場合、デリケートゾーンにも同様の症状が現れる可能性があるため、そのようなときも脱毛は控えた方が良いでしょう。

皮膚病でステロイドなどの外用薬を使用しているときも注意が必要です。外用薬を塗布した箇所に光を照射すると、色素沈着が起きてしまう恐れがあるからです。トラブルを未然に防ぐためにも、脱毛の前後一週間程度は、外用薬の使用は控えるようにしましょう。

皮膚疾患がある場合でも、「皮膚科医の許可が得られる場合のみ」という条件付きで脱毛が行えるケースもあるため、皮膚病の治療中に脱毛サロンでカウンセリングを受ける際には、医師の診断書や許可書を持参すると良いでしょう。

また、アトピーなどの場合は、一般的な光脱毛ではなく、SHRという最新式の理論を用いた脱毛機を使用する「ストラッシュ」などを選択する方法もあります。

詳しくは、かかりつけの医師や脱毛サロンのスタッフとご相談ください。

ケロイド体質

ケロイド体質の方も、脱毛の際には問題になるケースがあります。 ケロイド体質とは、その名の通りケロイドが出来やすい体質の方を指す言葉です。

人間は、真皮に達するような深い傷を負った場合、傷を埋めるためにコラーゲンを大量に生産します。 このときに、必要以上にコラーゲンが生成されてしまった状態をケロイドと呼びます。

ケロイドというと単なる見た目の問題のように思われがちですが、痛みやかゆみを伴ったり、場所によっては身体の動きの妨げになったりする可能性があります。

脱毛業界では、皮膚に傷が生じたときに、皮膚が隆起したり、赤みやかゆみが一年以上継続したりしたことがある方をケロイド体質と定義することが多いとされています。 これらの条件に当てはまる場合は、脱毛時にトラブルが起きるリスクが高いとして、処理を断られるケースも多いようです。

一方、上記に当てはまっていなければ、多少傷が残りやすい体質であっても、脱毛を受けられる場合も少なくありません。

専門医の同意を得てから脱毛を開始する

脱毛サロンは医療機関ではないため、病状を聞いたところで、スタッフも脱毛をして良いのかどうかの判断はつけられません。

また、本人が大丈夫だと思っていても、脱毛をしたことで想定外のトラブルに見舞われ、大変な思いをする羽目になるケースもあります。

糖尿病や心疾患、薬品アレルギーなどがあると、最悪の場合、命の危険にさらされる可能性もゼロではないのです。

そのように重大な事態を避けるためにも、持病のある方は、かかりつけの医師に光脱毛を希望している旨を相談し、専門的な判断を仰ぐことが大切です。

また、医師の同意書を貰うことができれば、脱毛サロンとの契約やカウンセリングもスムーズに進めることができます。

この記事のまとめ

脱毛をしたいと思っても、病気が原因で出来なかったら、とても残念ですし、悔しい気持ちになってしまいますよね。

ですが、体調が万全でないのに無理をして脱毛処理を受けた結果、皮膚の炎症や色素沈着を起こしたり、アナフィラキシー・ショックのような重篤な状態に陥ったりしたのでは本末顛倒です。

持病があっても100パーセント脱毛が出来ないというわけではないので、まずは一度、かかりつけの医師に相談するなどして、脱毛が受けられるか否かを確認するようにしましょう。

きれいな肌を手に入れることも大切ですが、なにより大事なのは自分の体と命です。

脱毛にこだわるあまり、一番大切にしなければならないものを見失うことのないように、上記にご紹介した内容を参考に、今一度ご検討いただければと思います。

この記事を書いた人
bythos
bythos
ライター歴15年。美容グッズや健康食品から、医療・美容関連などのライティングはお任せ。脱毛に関しても、脱毛サロンから医療脱毛まで幅広く網羅し、初めての人にも読みやすい記事を心掛けています。