Oラインは痔でも脱毛できるのか?痔の種類と予防法・セルフチェックチャート

公開日:2018/07/16 更新日:2019/03/08

自覚症状のない人を含めると、日本人の3人に1人は「痔持ち」であり、4人に1人はなんらかの痔になったことがあると言われています。日本人にとって、もはや痔は国民病の1つと言えます。

VIOの脱毛はデリケートな部位だけに、脱毛をするだけでも恥ずかしいものです。それに加え、脱毛サロンや医療脱毛クリニックに行ったときに「あなたは痔なので処理ができませんね」などと言われてしまったら、大ショックですよね。

そこで今回は、脱毛サロンや医療脱毛クリニックに行ってから恥をかくことがないように、痔の人はVIO脱毛ができるのか?痔を隠して照射することはできるのか?痔の場合はどうしたらいいのか?など、VIO脱毛と痔の関係について詳しく紹介します。

痔の場合Oラインの脱毛はできません

まず、結論から先に言ってしまうと、痔の場合Oラインの脱毛はできません。後述しますが、痔にはさまざまな種類があり、患部の状態によっては無理に脱毛を行うことで症状が悪化する恐れがあるからです。

そのため、VIOの脱毛を希望して脱毛サロンや医療脱毛クリニックを訪れても、痔の場合はOラインだけを避け、脱毛処理が行われる場合がほとんどです。

VラインやIラインの処理は基本的には可能ですが、IラインはOラインに近い部位のため、痔の大きさや肌の状態によっては脱毛できない場合もあります。

痔の種類と脱毛への対処法

痔には主に3つのタイプがあります。まずはその種類や詳しい特徴、脱毛の対処法などをご紹介します。

イボ痔(痔核)

痔の中でも、最も一般的なものがイボ痔です。直腸の下部や、肛門を閉じる役割を担っているクッション部分、そして肛門周辺の静脈がうっ血して膨らんだものを痔核(イボ痔)と言います。

イボ痔はさらに、歯状線と呼ばれる部位より内側にできる内痔核と、外側にできる外痔核の2種類に分けられます。それぞれの症状について、以下に詳しくご説明します。

内痔核

◎原因
内痔核の主な原因は、下記の5つです。

・便秘
・トイレ時間が長く排便時のいきみが強い
・デスクワークなど長時間同じ姿勢をとる
・妊娠
・出産

◎症状
内痔核は知覚神経の通っていない場所にイボができるため、後に説明する外痔核と違って痛みはほとんどなく、排便時に出血したり、肛門から痔核が脱出したりして気がつくケースが多いようです。

痔核が脱出したときは、異物感や、肛門から何かが飛び出す感覚があります。

症状が軽い場合は、痔核が脱出しても排便が終われば自然と元に戻ります。

しかし進行してくると、指で押し込まなければ戻らなくなってしまいます。こうなると痛みが出てきたり、出血量が増えて動悸・息切れなどの貧血症状が現れたりします。

最終的には指で押しても戻らなくなり、外科手術が必要になることも少なくありません。

◎治療方法
痔核が肛門の外に脱出しない、もしくは脱出しても排便後には自然に元に戻るといった初期の状態であれば、坐薬・内服薬などの薬物療法や、生活習慣の改善によって治癒する場合が多いです。

症状が進行している場合は、硬化療法やゴム輪結紮術、手術などが行われます。

◎脱毛の対処法
内痔核の場合は肛門の奥深くにイボが出来るため、初期の段階ではOラインに影響はありません。そのため、気づかずに脱毛してしまっている人も多いようです。

前述したように、初期の状態であれば、排泄の時間を3~5分程度にする、便秘を解消する食生活を心がけるなど、生活習慣の改善によって1~2週間で自然治癒するとされています。

違和感があるときは無理に脱毛を行わず、自然治癒を待ってから脱毛を行うようにしましょう。

外痔核

◎原因
外痔核の主な原因は、下記の7つです。

・便秘
・下痢
・アルコールや辛いものの摂り過ぎ
・長時間の歩行
・デスクワークなど長時間同じ姿勢をとる
・冷え
・ストレス

◎症状
痛みの少ない内痔核とは異なり、外痔核の場合は患部が腫れて激しく痛むことが多いとされています。痛みのわりに出血量は少ない傾向があります。

◎治療方法
外痔核も、軽症の場合は生活習慣を改善すれば、1週間前後で自然治癒します。

しかし、イボの中に血が溜まって大きな塊を作る血栓性外痔核になると、痛みや腫れがひどくなるため、専門病院で血栓を除去する処置が必要となります。

◎脱毛への対処法
出血が見られる間は症状が悪化する恐れがあるため、脱毛処理はできません。先にも述べたように、大抵の場合は1週間程度で自然治癒するので、それを待ってから脱毛を再開してください。

血栓性外痔核と呼ばれる症状になってしまった場合は、泌尿器科や肛門科を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

医師に脱毛に通っていることを相談し、症状の経過を診てもらった上で、OKが出たら処理を再開します。

切れ痔(裂肛)

◎原因
切れ痔(裂肛)はその名の通り、肛門の歯状線より外側の皮膚が、排便によって縦に切れたり裂けたりしてしまった状態を言います。

ダイエットなどで食事量を制限している女性に多く見られ、栄養バランスの偏りによって便が固くなることと深い関係があるとされています。

◎症状
排便時の強い痛みと出血が特徴です。ただし出血量はトイレットペーパーに付く程度であまり多くはありません。

肛門内側の粘膜と異なり、歯状線より下にある肛門上皮には痛みを感じる知覚神経が通っているため、切れ痔には強い痛みが伴います。

初期の状態では肛門が切れてもすぐに自然治癒しますが、再発を繰り返しやすい傾向があります。再発を繰り返し、慢性化すると潰瘍になることもあります。

◎治療方法
自然治癒で痛みがなくなったとしても、完全に治りきったとは言えません。大きい便や固い便が通過することで、一度は治った傷が再び切れてしまったり、傷口が慢性化してしまったりする場合も少なからずあります。

また、切れ痔を繰り返すことで肛門付近の筋肉が固くなり、次第に肛門が小さくなって、皮膚が刺激を受けやすい状態になってしまいます。そのような悪循環に陥ってしまった場合は、手術で治療する方が早期に症状を改善できます。

◎脱毛への対処法
切れ痔の場合、脱毛は軽度の症状でもできません。

無理に脱毛をすると傷口が悪化して、より重篤な症状を引き起こす恐れがあります。まずは専門医を受診し、患部をしっかり治してから脱毛を再開しましょう。

手術で治療した場合、脱毛の再開は主治医のOKが出てからにしましょう。勝手に時期を早めてしまうと、思わぬトラブルを引き起こす原因になります。

痔瘻(じろう・あな痔)

◎原因
痔瘻(じろう・あな痔)とは、直腸と肛門周囲の皮膚を繋ぐトンネルが出来てしまう痔のことです。下痢・ストレスなどによる免疫力の低下のほか、肛門括約筋の強い男性に多い傾向があります。

◎症状
肛門周囲に膿が溜まる肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)が進み、慢性化すると痔瘻になります。腫れやズキズキとした痛みのほか、時には38~39℃の発熱を伴う場合もあります。

また、膿のトンネルが出来ているため、トンネルを通じて常に膿が排出されてしまい、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。

◎治療方法
痔瘻や、その前段階である肛門周囲膿瘍は、市販薬では治すことができません。保存的治療や薬物治療での完治は難しく、根本的な治療には手術が必要となります。

肛門周囲膿瘍の段階であれば、切開して膿を出すだけで治る場合もありますが、症状が進んでいる場合は、肛門括約筋温存瘻管繰り抜き術やシートン法といった、より根治を目指した術式が採用される場合もあります。

◎脱毛への対処法
膿が出るなどの症状があるため、脱毛は絶対にNGです。

Vラインは患部から遠いため脱毛可能ですが、Iラインは患部に近く悪影響を及ぼす恐れがあるため、痔瘻の症状が見られる間はIラインの脱毛も避けた方が良いでしょう。

脱毛の再開時期に関しては、専門医と相談の上、了承が出てから行うようにしてください。

痔と間違われやすい「スキンタグ」なら大丈夫

スキンタグとは「肛門皮垂(こうもんひすい)」とも呼ばれる、その名の通り肛門部分の皮膚のたるみを指す言葉です。

排便時の痛みや腫れ、出血もないのに、脱毛サロンや医療脱毛クリニックで脱毛を断られた場合、スキンタグをイボ痔と間違われている可能性があります。

そのような場合は、まずは専門医を受診し、イボ痔なのかスキンタグなのかをしっかりと判断してもらいましょう。その上で、スキンタグであるという診断が得られれば、脱毛を行って何ら問題ありません。

専門医に証明書のようなものを記載してもらい、脱毛サロンや医療脱毛クリニックへ提出するとスムーズに脱毛を行えます。

スキンタグは皮膚を清潔に保つことで自然に消失するケースもありますが、なかには大きくなって違和感が生じたり、たるんだ皮膚に細菌が感染して腫れや炎症を起こしたりする場合もあります。そうした症状が見られる場合は、早めに専門医を受診しましょう。

痔か違うのか簡単セルフチェック

気になる症状別にフローチャートを作成しました。当てはまる症状を選んでセルフチェックしてみてください。

痛み


出血

できもの

痔にならないための予防法

食生活を見直す

痔の原因の多くは便秘です。便秘によって便が固くなることで、排便の際に肛門が傷つき、痔を引き起こすと考えられています。

整腸作用のある食品や食物繊維を積極的に摂る・バランスの良い食事を心がけるなど、日々の食生活を見直すことは、痔の予防にとって重要です。

お風呂は湯船にゆっくりつかる

入浴も痔の予防法として効果的です。肛門が清潔に保たれるだけでなく、おしりが温まることで肛門のうっ血も改善することができます。

大切なのはシャワーだけで済ませるのではなく、湯船にゆっくりつかるという点です。好きな入浴剤を使うなどしてゆっくりお湯につかることで、体が芯から温まり、痔を予防する効果が期待できます。

トイレは3~5分が目安

トイレは3~5分程度を目安とし、出ないときは無理せず切り上げるようにしましょう。まだ便が残っているような感じがしても、いきんで出し切ろうとするのはおすすめできません。

長時間に渡って強くいきむと肛門に負担がかかり、うっ血や出血につながる恐れがあります。痔を予防するためにも、排便は便意を催したときに無理なく行うようにしましょう。

便秘や下痢にならないよう気を付ける

便秘や下痢などの便通異常は痔の大きな原因の1つです。便秘になると、便は腸の中で硬くなってしまいます。その結果、排便時に肛門が傷ついて痔を引き起こします。

一方、下痢も肛門には悪影響を及ぼします。勢いよく便が排出されることで肛門が傷ついたり、細菌感染を起こしやすくなったりしてしまうのです。便秘や下痢にならないことも、痔の予防にとっては大切です。

朝はリズムよく支度する

規則正しい生活は便秘の予防に有効です。特に、朝のリズムを整えることで、正しい排便習慣を身につけることができます。

忙しいからといって朝食を抜いてしまう人も多いですが、朝は食事を摂ることによって起こる反射作用で最も便意を催しやすい時間帯です。

できるだけ余裕をもって起床し、規則正しい食事と排便習慣を心がけるようにしましょう。

無理なダイエットはしない

ダイエットが原因で便秘になり、そこから痔を発症してしまう人も少なくありません。特に、極端に食事の量を減らすダイエットをしていると、便のかさが増えず、便秘になりやすいとされています。

少量の便ではなかなか便意が起こらないため、ダイエットをする、便が減る、便秘になる、痔を引き起こす……の悪循環に陥ってしまいがちです。そのような状態を防ぐためにも、無理なダイエットは禁物です。

同じ姿勢を続けない

デスクワークで一日中座ったままだったり、その逆に接客業などでずっと立ったままだったり、長時間同じ姿勢を続けていると、肛門がうっ血して、痔になりやすくなってしまいます。

職業柄、同じ姿勢を続けることはなかなか変えられないという場合でも、休憩時間に軽い体操をするなど、ちょっとした工夫を取り入れることで、血の巡りを改善することは可能です。

心当たりのある人は、隙間時間に意識的に体を動かすと良いでしょう。

おしりはていねいに拭く

排便後、汚れが残ったままにしていると肛門が不潔になり、痔を起こしやすくなります。清潔さを保つためにもおしりはしっかり拭くようにしましょう。

ただし、ゴシゴシ擦るとダメージになるため、紙を押し当てるように優しく拭き取ります。

便の質により何度も拭かないときれいにならないときは、トイレの温水便座機能などを利用すると良いでしょう。

おしりの皮膚はデリケートで、強い水圧で洗いすぎると炎症を起こす恐れもあるため、やりすぎには注意が必要です。

「温水便座症候群」にご注意を!
正しく使えば痔の予防に効果的な温水便座機能ですが、近年は温水便座機能があるトイレでないと便が出にくいという人が増えています。

浣腸的な目的で温水便座機能を使うことで、刺激がないと便が出にくくなったり、使いすぎで皮膚炎を起こしてしまったりするのです。そうした状態を温水便座症候群と呼びます。

温水便座症候群にならないためには、日頃からそれらの機能に頼りすぎず、自然に排便する習慣を身につけることが大切です。

この記事のまとめ

Oラインの脱毛は、ただでさえデリケートな処理が必要な部位です。それに加えて痔もあるとなると、脱毛には細心の注意が必要です。

痔にもいろいろな種類があり、内痔核であれば自覚症状がない場合も多く、気づかずに脱毛をしてしまっている場合もあります。

また、スキンタグと呼ばれ、痔の症状に似ているために照射を断られてしまう場合もあります。

たかが痔と軽く考えていると、思わぬ深刻な事態に発展する恐れもるため、痔の種類に関わらず、おしりに違和感や何らかの症状が見られる場合は、無理に脱毛しようとするのではなく、まずは泌尿器科や肛門科など専門医を受診しましょう。

適切な治療を行い、万全の状態を整えた上で、改めて脱毛処理を行うようにしてください。

この記事を書いた人
ako
ako
ニードル脱毛は3本で断念。光脱毛や医療脱毛、ブラジリアンワックスに糸脱毛と、国内で行われている脱毛方法はほぼすべて網羅。 これまで書いてきた脱毛に関する記事は1000を超える。ちまたでは「脱毛ライターのプロ」って呼ばれているのさ(自称)。